データで見る建設コスト
建設工事費デフレーター・個別資材の企業物価指数(CGPI)・建設工事受注額のデータから、建設コストの動向を整理しています。
最終更新:2026年3月
建設資材物価指数
133.6
+1.2%
建設工事費デフレーター(国土交通省)(2025-12)
建設総合(2015年度比)
+33.8pt
+1.2%
建設工事費デフレーター(国土交通省)(2025-12)
建設工事受注額
138,259億円
-1.1%
建設工事受注動態統計調査(国土交通省)(2024-03)
木造 vs 鉄骨
131.3 / 133.9
建設工事費デフレーター(国土交通省)(2025-12)
セメント(CGPI)
166.2
+0.0%
企業物価指数・品目別(日本銀行)(2026-02)
建設工事費は2020年以降に大きく上昇しています
国土交通省の建設工事費デフレーター(資材費・労務費・機械経費・仮設費を含む総合指数)によると、建設総合指数は2020年を境に上昇ペースが加速しています。COVID-19によるサプライチェーン混乱、2021年のウッドショック、2022年のウクライナ情勢による鋼材・エネルギー価格高騰、さらに円安による輸入資材コスト増が複合的に作用しています。建設総合指数は2015年度基準(=100)に対し、2025年末時点で133.6まで上昇しており、2015年度の水準と比較して約34%のコスト増を意味します。長期契約や固定価格契約を結ぶ際のリスク評価に直結します。
建設工事費デフレーターの推移
指数(2015年度=100)
出典:建設工事費デフレーター(国土交通省)
木造と鉄骨造で異なるコスト上昇パターンがあります
構造別の工事費デフレーターを見ると、木造住宅と鉄骨・鉄筋では価格上昇のタイミングや幅に違いがあります。木造住宅は2021年のウッドショック以降に急騰し、鉄骨・鉄筋は鋼材価格やエネルギーコストの影響を受けて推移しています。ただしデフレーターは工事費全体の指数(資材+労務+経費)であるため、純粋な「資材価格」の動きだけを示すものではない点に注意が必要です。構造別の価格動向の違いは、仕入れ先の分散や見積り有効期限の設定を検討する際の参考材料になります。
構造別 建設工事費デフレーター
指数(2015年度=100)
出典:建設工事費デフレーター(国土交通省)
建設工事受注額は建築工事が直近12ヶ月で約6割を占めます
建設工事受注動態統計によると、直近12ヶ月の受注額を工事種類別に見ると建築工事が全体の約6割を占め最大です。建築工事にはオフィス・工場・物流施設・住宅などの民間建築と、庁舎・学校などの公共建築が含まれます。土木工事は約3割で、公共事業の予算に左右されやすく、年度末(1〜3月)に集中する傾向があります。自社が建築主体であれば民間景況感(設備投資計画)を、土木主体であれば国・自治体の予算編成動向を営業のリード指標にすることが有効です。
工事種類別 建設工事受注額
出典:建設工事受注動態統計調査(国土交通省)
民間工事が受注額全体の約7割を占めています
発注者別に見ると、民間工事が受注額全体の約7割(直近12ヶ月で約69.6%)を占めています。公共工事は年度末(1〜3月)にかけて増加する季節的なパターンが見られます。公共依存度が高い会社は年度末の繁忙と年度初めの端境期を織り込んだ資金繰り計画が、民間中心の会社は景気変動への備えが、それぞれ経営判断のポイントになります。
発注者別 建設工事受注額
※ 発注者別データは2024年3月時点までの集計です。
出典:建設工事受注動態統計調査(国土交通省)
名目受注額と実質(工事量ベース)の乖離が拡大しています
受注額を建設工事費デフレーターで割り戻した「実質受注額(工事量ベースの代理指標)」を12ヶ月移動平均で見ると、名目と実質の乖離が拡大傾向にあります。名目の受注額がほぼ横ばい〜微増で推移する一方、デフレーター上昇分が実質を押し下げており、工事量そのものは増えていないことを示唆します。売上高の見かけの安定感に惑わされず、実質ベース(工事量)と原価上昇を切り分けて損益を見ることが、経営判断の基本になります。
建設工事受注額 名目 × 実質
名目受注額 vs 実質受注額(実線)× 資材価格指数(破線)— 12ヶ月移動平均
※ 12ヶ月移動平均で季節変動を除去しています。左軸(実線)に名目受注額と実質受注額(=名目÷デフレーター×100、2015年度価格基準)を兆円単位で表示。右軸(破線)は建設工事費デフレーター。名目と実質の差が大きいほど、資材コスト上昇の影響が大きいことを意味します。乖離=(名目-実質)/名目で、デフレーター上昇分だけ名目と実質の差が開きます。
出典:建設工事受注動態統計調査(国土交通省) / 建設工事費デフレーター(国土交通省)
個別資材の企業物価指数:2026年2月時点でセメントが+66%と突出して上昇しています
日本銀行の企業物価指数(CGPI、2020年平均=100)で個別資材を見ると、2026年2月時点で上昇率に大きな差があります。セメントは2023年以降の値上げラッシュで166.2(+66%)と最も高く、生コンクリートも156.5(+57%)でセメント価格の転嫁が進んでいます。小形棒鋼(鉄筋)は149.4(+49%)で鉄スクラップ相場に連動し、製材は136.6(+37%)とウッドショック後に高止まりの状態です。合板・集成材は133.8(+34%)と最も落ち着いていますが、いずれも2020年比で3〜7割の上昇です。見積りの資材費割合を「一式」で済ませず、品目ごとの値上がり率を見て単価更改交渉の材料にできます。
建設主要資材の企業物価指数(CGPI)
※ 2020年平均=100。日本銀行「企業物価指数」の国内企業物価指数・品目別データから建設主要5資材を抽出。月次更新。
出典:企業物価指数・品目別(日本銀行)
工事費総合指数+34%、設計労務単価+98%——コスト上昇の複層構造
建設工事費デフレーター(2015年度=100)と公共工事設計労務単価を重ねると、コスト上昇の複層構造が見えます。デフレーター(資材費・労務費・機械経費等を含む総合指数)は2015年度基準で約34%上昇、設計労務単価は2012年度の13,072円から2026年度の25,834円へ約1.98倍(+97.6%)に達しています(うち2013年度には法定福利費相当額の反映などで13,072円→15,175円の約+16.1%改定が行われています)。ただしデフレーターには労務費も含まれるため、労務単価の上昇は総合指数に部分的に反映されている点に注意が必要です。原価管理では資材費と労務費を分けて追跡し、それぞれの転嫁状況を把握することが赤字工事を防ぐ起点になります。
建設工事費デフレーター × 設計労務単価
※ 左軸(折れ線)がデフレーター(2015年度=100、総合指数)、右軸(棒グラフ)が設計労務単価(円/日、全国全職種加重平均)。期間が重複する年のみ表示。2012年度を基準年とした上昇率には2013年度の制度改定分(法定福利費相当額の反映)を含みます。
出典:建設工事費デフレーター(国土交通省) / 公共工事設計労務単価(国土交通省)
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