データで見る住宅市場
住宅着工統計・都道府県別データ・リフォーム市場の3つの公的データから、日本の住宅市場の現状を整理しています。
最終更新:2026年3月
住宅着工戸数
62,957戸
-3.2%
e-Stat 住宅着工統計(国土交通省)(2024-12)
持家(前年同月比)
17,821戸
+4.6%
e-Stat 住宅着工統計(国土交通省)(2024-12)
リフォーム市場規模
13.8兆円
+4.2%
建築物リフォーム・リニューアル調査(国土交通省)(2024年度)
東京都 住宅着工戸数
8,837戸
-8.2%
e-Stat 住宅着工統計(国土交通省)(2024-12)
全国の住宅着工は減少傾向にあります
国土交通省の住宅着工統計によると、全国の新設住宅着工戸数は2022年(約86.0万戸)をピークに、2024年(約79.2万戸)まで減少し、80万戸台を割り込んでいます。背景には住宅ローン金利の先高観や建設コストの上昇があるとされています。住宅元請を主力とする建設会社にとっては、新築の受注減少を前提とした事業構成の見直し—リフォーム・非住宅への比率調整—を検討する材料になります。
新設住宅着工戸数の推移
出典:国土交通省 住宅着工統計
利用関係別に見ると、持家の減少が顕著です
利用関係別に分解すると、特に「持家」の減少幅が大きく、2021年の約28.6万戸から2024年の約21.8万戸へ約-24%減少しています。持家は施主が自己資金・住宅ローンで建設費を負担する構造上、資材高騰や金利上昇の影響を直接受けやすいためです。一方「貸家」は2021年の約32.1万戸から2024年の約34.2万戸へ微増(+6%)と底堅く、相続税対策としての賃貸建設需要や低金利下でのアパートローン活用が背景と指摘されています。「分譲住宅」は大手デベロッパーのマンション供給計画に左右されるため月次変動が大きくなっています。自社の受注構成が持家中心か貸家中心かで、市場環境の影響が大きく異なる点に注意が必要です。
利用関係別 住宅着工戸数
出典:国土交通省 住宅着工統計
地域によって市場規模に大きな差があります
都道府県別の着工戸数を見ると、東京都・大阪府・神奈川県など大都市圏に着工が集中しており、上位3都府県だけで全国の約3割を占めます。人口流入が続く都市部では再開発・マンション供給が底堅い一方、人口減少が進む地方圏では着工減少が全国平均を上回るペースで進んでいます。自社の営業エリアが成長市場か縮小市場かを確認し、エリア戦略(拠点の集約・広域化・リフォームシフト)を検討する材料になります。
都道府県別 住宅着工戸数
2024年12月時点
出典:国土交通省 住宅着工統計
一方、リフォーム市場は中長期で拡大傾向にあります
新築住宅の着工が減少する一方で、リフォーム・リニューアル市場は中長期で拡大傾向が確認できます。単年では増減がありますが、2020年以降は緩やかな回復基調です。背景には築30年超の住宅ストックの増加、政府の住宅省エネ改修補助金(先進的窓リノベ事業等)による需要喚起があります。さらに2025年4月以降に工事着手する原則すべての新築住宅・非住宅で省エネ基準適合が義務化されたことで、住宅性能への関心が高まり、既存住宅の改修需要にも波及する可能性があります。ただしリフォームは新築より単価が小さく多数の案件を回す営業体制が必要なため、参入の可否は自社のリソースと照らし合わせた検討が必要です。
リフォーム・リニューアル市場の推移
※ 工事種類別の数値は国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」各年度計の公表Excelファイル(表1-2)から抽出しています。「改装・改修」は住宅・非住宅の合計値で、非住宅分には維持・修理工事を含みます。各カテゴリは独立推定のため、合計値と一致しない場合があります(丸め誤差)。
出典:国土交通省 建築物リフォーム・リニューアル調査
資材価格が上がる一方で、持家の着工は減少しています
木造住宅の資材価格指数と着工件数を重ねると、資材価格が上昇基調にある期間に持家の着工件数が減少傾向にあることが確認できます。一方で貸家は比較的底堅く推移しています。自己資金で建てる持家は施主のコスト感度が高く影響を受けやすいのに対し、貸家は投資需要に支えられ、賃料収入で回収できる見通しがあるため反応が異なると考えられます。持家の受注比率が高い工務店は、資材高騰局面での見積もり有効期限の短縮や、概算段階でのコスト上振れ幅の提示(+10〜15%のバッファ)が現場の資金繰りを守る要点になります。
住宅着工 × 資材価格指数
住宅着工件数(実線)× 資材価格指数(破線)
※ 左軸(実線)が着工件数、右軸(破線)が資材価格指数(2015年度=100)です。重複する期間(2021年1月〜2024年12月)のみ表示しています。
出典:国土交通省 住宅着工統計 / 建設工事費デフレーター(国土交通省)
リフォーム・リニューアル市場全体は拡大傾向にあります
リフォーム・リニューアル市場を住宅と非住宅に分けて見ると、住宅分は3〜4兆円台で推移し2020年以降は緩やかに回復(約3.2→4.1兆円)している一方、非住宅分(オフィス・商業施設の改修等)は2011年の5.4兆円台から2024年の9.7兆円台へと大きく成長しています。非住宅分の成長が顕著な背景には、2013年の耐震改修促進法改正による大規模建築物の耐震診断義務化や、2050年カーボンニュートラルに向けたオフィスビルの省エネ改修需要の拡大があります。リフォーム参入を検討する場合、住宅リフォームは競合が多く成長率が低い一方、非住宅分野(省エネ改修・耐震補強等)の方が市場拡大の恩恵を受けやすい可能性があります。
リフォーム市場 住宅 × 非住宅
出典:国土交通省 建築物リフォーム・リニューアル調査
新築着工が減る中、リフォーム市場は底堅く推移しています
新築住宅の年間着工戸数とリフォーム市場規模(住宅分)を重ねると、新築が漸減傾向にある中でリフォームは横ばい〜微増で推移しています。新築からリフォームへの「構造転換」は急激には起きていませんが、新築市場が縮小する中でリフォーム市場が維持されていること自体が、リフォーム事業の安定性を示す材料になります。
新築住宅着工 × リフォーム市場規模
新築着工件数(実線)× 住宅リフォーム市場規模(破線)
※ 左軸(実線)が新築着工件数(年間合計、戸)、右軸(破線)がリフォーム市場規模(住宅分、億円)です。重複する期間(2021〜2024年)のみ表示しています。
出典:国土交通省 住宅着工統計 / 国土交通省 建築物リフォーム・リニューアル調査
住宅着工が年間80万戸を割る中、建設業の倒産は2,000件を超えました
住宅着工戸数(年間合計)と建設業倒産件数を重ねると、着工戸数が 2021 年の約 85.6 万戸から 2024 年の約 79.2 万戸へ減少する中、同期間の倒産は 1,066 件から 1,890 件へ +77% 増加し、2025 年には 2,021 件と 2,000 件を突破する構造が見えます。住宅元請を主力とする工務店にとって新築受注の絶対量が減ることは収益圧迫要因になり得ます。特に持家は 2023〜2024 年に 22 万戸前後まで減少し、注文住宅専業の工務店が影響を受けやすい状況です。住宅着工の減少と倒産の増加は並行して推移しており、新築依存度の高い事業モデルの見直しを検討する判断材料として扱えます。
住宅着工戸数 × 建設業倒産件数
※ 左軸(折れ線)が住宅着工戸数(年間合計、万戸)、右軸(棒グラフ)が倒産件数。住宅着工は月次データの年合計。
出典:国土交通省 住宅着工統計 / 帝国データバンク「建設業」倒産動向調査
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