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木材価格推移2026年版|農水省統計で見るスギ正角材・輸入材の現状

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木材価格推移2026年版|農水省統計で見るスギ正角材・輸入材の現状

この記事でわかること

2021年のウッドショックから5年が経ち、木材価格は高値圏での推移が続いています。農林水産省「木材価格統計調査」で2020年1月から把握開始されたスギ正角・乾燥材(10.5cm×10.5cm×4.0m・2級)は、2025年8月で1m³あたり75,900円。本記事ではこの系列の推移・林野庁「令和6年木材需給表」・建設工事費デフレーターをもとに、価格動向と調達実務への示唆を整理します。

主要データ

  • スギ正角・乾燥材(10.5cm×10.5cm×4.0m・2級):2025年8月時点で1m³あたり75,900円(農林水産省「木材価格統計調査」表3-2-1、2026年3月27日公表分)
  • 木材自給率:42.5%(令和6年/2024年、前年比-0.4pt)
  • 用途別自給率:建築用材等52.9%(前年比-2.4pt)、非建築用材等36.5%(+0.7pt)
  • 2024年の木材総需要量は前年比+2.5%(8,187.4万m³)。うち燃料材+11.0%、用材は減少(林野庁「令和6年木材需給表」2025年11月21日公表)

木材価格推移2026年版|農水省統計で見るスギ正角材・輸入材の現状

注記:本記事の価格情報は参考値です。実際の取引価格は時期・地域・取引条件・規格により異なります。農林水産省「木材価格統計調査」は複数のスギ正角規格を扱っており、本記事で主に参照するのは2020年1月から把握開始された「スギ正角・乾燥材(10.5cm×10.5cm×4.0m・2級)」の系列です。

2021年のウッドショックから5年が経ちました。木材価格は落ち着いたのか、それとも高止まりしているのか。データで見る建設コストのダッシュボードでも建設資材全体の推移を確認できますが、木材には他資材と異なる固有の事情があります。

本記事では、農水省統計の現行規格の時系列データと、林野庁「令和6年木材需給表」、国交省「建設工事費デフレーター」を組み合わせて、2026年時点での木材価格の実態と、現場での調達対策を整理します。

木材価格の現在地|農水省統計で確認できる水準

参照する調査規格について

農林水産省「木材価格統計調査」は複数のスギ正角規格を扱っています。本記事で主に参照するのは、2020年1月(令和2年1月)から把握開始された「スギ正角・乾燥材(10.5cm×10.5cm×4.0m・2級)」の系列です。この系列はウッドショック発生前から連続して観測されているため、2020年初頭から現在までの価格推移を同一規格内で確認できます。

一方、旧来併設されていた「10.5cm×10.5cm×3.65〜4.0m」「12.0cm×12.0cm×3.0m」等の規格は令和4年1月調査から廃止されており、これらの系列と現行系列を横断する長期比較は注意が必要です(出典:農林水産省「木材価格統計調査 用語の説明」 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/mokuryu/kakaku/gaiyou/ )。

スギ正角・乾燥材の直近水準

農水省「木材価格統計調査」表3-2-1(2026年3月27日公表分)によると、スギ正角・乾燥材(10.5cm×10.5cm×4.0m・2級)の2025年8月時点の1m³あたり価格は75,900円です。ウッドショック前の2020年上半期水準と比べれば依然高く、2021年のピークから反落した後は、公表値を月次で追う限り7万円台前後での推移が中心となっています(e-Stat の表3-2-1月次ファイルで最新月まで確認できます)。

国土交通省「建設工事費デフレーター」でも、木造住宅部門は2021年度に前年比で急騰した後、上昇ペースが鈍化しつつ高止まりの傾向を示しています。最新公表値や基準時・系列名は国交省の統計ページで確認できます(出典:国土交通省「建設工事費デフレーター」 https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-other-2_tk_000362.html )。

いずれの指標も「ピークからは落ち着きつつ、水準そのものは高止まり」を示しています。

輸入材(北米SPF)の国際市況

北米SPF 2×4材の先物市場であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の Lumber Futures では、2021年5月にMBF(千ボードフィート)あたり1,700ドル超まで上昇した後、2022年後半には500ドル前後まで下落しました。足元は400〜600ドル帯での推移が多く、国際市場は落ち着きを取り戻しています(出典:CME Group「Lumber Futures」 https://www.cmegroup.com/markets/agriculture/lumber-and-pulp/lumber.html 、月次終値ベース)。

ただし、為替の変動により円建てコストはドル建ての動きほど下がっていません。後述のとおり為替試算は前提の置き方で幅が出るため、契約時期ごとに個別評価が必要です。

データで見る

建設工事費デフレーターの推移

ウッドショックの構造要因と、いまも残るリスク

発生メカニズム:需要急増・物流混乱・供給制約

2020年以降、北米では在宅勤務の普及で郊外住宅需要が急増し、2021年の米国住宅着工件数は約160.1万戸と前年から大幅に増加しました(出典:U.S. Census Bureau「New Residential Construction」 https://www.census.gov/construction/nrc/ )。同時にコンテナ物流の混乱で海上運賃が高騰し、カナダではブリティッシュコロンビア州を中心に山火事と松食い虫(マウンテンパインビートル)被害が重なって供給能力が低下していました。3つの要因が同時に重なった結果、国際木材市場の需給は大きく逼迫しました。

安定化の背景と、自給率の見方

北米の住宅需要は金利上昇で鈍化し、コンテナ物流は正常化しました。日本国内でも新設住宅着工戸数は減少傾向にあります(出典:国土交通省「建築着工統計」 https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/stat-e.htm )。

木材自給率は令和6年(2024年)で42.5%でしたが、前年比では0.4ポイントの低下となりました。用途別に見ると建築用材等は52.9%(前年比-2.4pt)、非建築用材等は36.5%(+0.7pt)で、建築向けの自給率は下がっています(出典:林野庁「令和6年木材需給表の公表について」2025年11月21日公表 https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/251121.html )。

総需要量は前年比+2.5%(8,187.4万m³)でしたが、増加分の大半は燃料材(+11.0%)によるもので、用材は減少しています。ウッドショック直後に強調された「国産材シフトで自給率が上がる」という流れは、2024年時点では用材側では必ずしも続いておらず、数字の読み方に注意が必要です。

リスク1:為替変動

輸入材は為替の影響を直接受けます。2021年の東京市場ドル円月平均は概ね109〜114円(年平均109円台)、2025年は月によって幅はあるものの150円前後での推移となりました(出典:日本銀行「外国為替市況(月次)」 https://www.boj.or.jp/statistics/market/forex/fxdaily/ )。仮にドル建て価格が同じでも、ドル円が110円から150円に動いた場合は「150÷110-1≒36%」で円建てコストが約36%割高になる試算です。ただし契約通貨・為替予約・船積時点により実際の負担は前後するため、個別の取引ごとに確認が必要です。

リスク2:バイオマス発電向け需要の増加

再生可能エネルギー政策の一環として、木質バイオマス発電が各地で稼働しています。令和6年需給表で燃料材需要が前年比+11.0%となった背景にはこの動きがあります。製材用の良質丸太と燃料材では用途・品質要求が異なるため直接の競合は限定的です。一方で、低質材や未利用材の価格動向、山元での仕分け・搬出判断を通じた間接的な影響は残ります。建築用材の供給安定性を見る際は、燃料材市況も併せてウォッチする必要があります。

リスク3:国内林業の担い手不足

木材自給率が40%台に乗っても、伐採・搬出の人手が確保できなければ国産材の供給上限はそこで頭打ちになります。林業従事者数は長期的に減少しており、近年は横ばい傾向もみられますが、高齢化率は他産業より高い水準で推移しています。最新の数値は林野庁「森林・林業白書」および「森林・林業統計要覧」で公表されているため、経営判断に使う際は直近版を参照してください(出典:林野庁「森林・林業白書」 https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/ )。

国産材と輸入材の選択|コスト以外の視点

価格面の比較

ウッドショック前は輸入材(北米SPF、欧州材など)が国産材(スギ、ヒノキ)に対して明確な価格優位性を持っていました。しかしウッドショック後は円安によって輸入材の円建て価格が上昇し、樹種や規格によっては国産材のほうが割安になる逆転現象も見られるようになっています。

もっとも、この比較は「どの規格の国産材」と「どの規格の輸入材」を突き合わせるかで結論が変わります。自社の調達実績に基づいた現場単位の比較が、最も精度の高い判断材料になります。

供給安定性の視点

ウッドショックで最大の教訓となったのは、輸入材依存のリスクです。国産材は為替変動や国際物流の混乱を受けにくく、供給安定性の面で優位です。ただし国産材はスギ・ヒノキ中心で樹種選択肢が限られる点、構造用集成材の原料としてはカラマツ・トドマツの利用も進む一方で北米材・欧州材と比べ規格や品質の均一性に差がある場合がある点は、設計段階で織り込む必要があります。

CLT・LVLなど工学的木材の選択肢

CLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)は、国産材の活用範囲を広げる技術として中大規模木造建築で活用が進んでいます。従来は鉄骨造やRC造で計画されていた建物を木造で実現する事例も増えています。ただし製造設備が限られるため、供給量と価格の両面で従来の製材品より割高な状況が続いています。普及が進めば量産効果が見込めますが、当面の調達計画には現行の価格・納期水準を前提に織り込むのが妥当です。

調達の実務対策

対策1:国産材・輸入材の併用とルート多重化

単一調達ルートに依存しない体制が基本です。設計段階で構造材の樹種を1種類に絞らず、同等強度等級の複数樹種を許容する仕様にしておけば、調達の柔軟性が確保できます。国産材・輸入材の適正比率は現場所在地・樹種選択・プレカット工場の対応力で変わるため、定量的な比率は現場単位で決めることになります。

対策2:地域製材所との直接取引

大手商社経由の流通に加えて、地域製材所との直接取引を開拓すれば、条件が合えば中間マージンの削減と供給安定化を両立できる有力な選択肢になります。産地直送プレカット(地域内で丸太の製材から構造材加工まで完結)を活用できる現場では、効果が特に大きく出ます。

ただし小規模・地域製材所の場合は、人工乾燥材の供給能力、JAS材対応、プレカット工場との連携、納期、品質ばらつきといった実務面の制約があるため、採用前に取引先ごとの対応範囲を確認しておく必要があります。

対策3:単品スライド条項とその適用範囲

国土交通省直轄工事では、主要建設資材の価格変動が対象工事費の一定割合を超えた場合に、その超過分を請負代金に反映できる単品スライド条項が運用されています。対象資材・変動率の算定方法・請求手続きは国交省通知で細かく定められており、すべての資材変動が自動的に反映されるわけではありません。地方公共団体の工事では国交省方式を準用する事例はあるものの、発注者ごとの契約約款・運用基準の確認が必要になります(出典:国土交通省「工事請負契約における単品スライド条項の運用について」)。

民間工事では直轄工事の条項がそのまま適用されるわけではありません。契約書に価格変動条項を個別に盛り込む方法が現実解ですが、閾値(変動率)や対象資材・基準価格・証憑の取り方は取引先や法務担当と協議のうえで設計する必要があります。閾値の例示は契約条件として一人歩きしかねないため、本記事では具体の数値例は示しません。

失敗事例:ウッドショック時の調達遅延

ウッドショック時、輸入材依存度の高かった工務店では、木材調達ができず上棟が3〜6か月遅れた事例が各地で報道されました。工期遅延は施主への違約金や仮住まい費用に直結します。一方で、普段から国産材を併用していた工務店や、地域製材所と継続的な関係を築いていた建設会社は、影響を比較的軽微に抑えられました。調達多様化は「平時にこそ仕込む」が原則です。

今後の木材価格見通し

下押し要因

  • 国内の新設住宅着工戸数の減少(人口減少・世帯数の頭打ち)
  • 北米の住宅需要の鈍化(金利の高止まり)
  • コンテナ物流・海上運賃の正常化

上昇要因

  • 円安の継続(輸入材の円建て価格上昇)
  • バイオマス発電向け需要の増加(燃料材と用材の競合)
  • 林業担い手不足による国産材供給の制約
  • リフォーム・リノベーション需要の拡大

総合すると、ウッドショック級の再急騰が直ちに発生する可能性は高くないものの、現行系列の2022年以降の高値水準からの大幅下落も見込みにくい状況です。当面は「高値圏での安定」を基本シナリオに、調達体制を平時から多重化しておくことが現場視点での妥当な判断となります。

よくある質問

Q1: ウッドショック前と比べて価格はどの程度上がっていますか?

本記事で参照するスギ正角・乾燥材(10.5cm×10.5cm×4.0m・2級)は2020年1月から連続して把握されているため、この規格であればウッドショック前後の推移を同一系列で確認できます。農水省の月次公表値を追うと、2021年のピークから反落した後も、2020年初頭水準より高い水準で推移しています。ただし他の旧規格(10.5×10.5×3.65〜4.0m、12×12×3.0m等)は令和4年1月調査で廃止されているため、旧規格を含めた長期比較は注意が必要です。

Q2: 木材自給率は上がっているのでは?

全体の自給率は令和6年(2024年)で42.5%ですが、前年比では-0.4pt、建築用材等に限ると-2.4ptと、2024年は用途によって低下しています。燃料材需要の増加で自給率全体が押し上げられる年もあり、「自給率上昇=建築用材の国産切替が進む」とは単純化できません。用途別の数値を併せて確認する必要があります。

Q3: 小規模工務店でもできる価格変動対策はありますか?

いくつかの対策を組み合わせるのが現実的です。地域の製材所・材木店との関係構築で価格動向の早期把握と優先的な材料確保の余地を作る、近隣工務店との共同調達でロットを確保する、構造材の標準仕様を複線化する、価格変動リスクの高い時期は早期発注や在庫前倒しで吸収する、契約書に価格変動条項を盛り込むなどです。単品スライド条項は国交省直轄工事向けの制度であり、民間工事では条項を個別に設計する必要があります。


実際の取引価格とは異なる場合があります。参考値としてご利用ください。

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まとめ

2025年8月時点で、スギ正角・乾燥材(10.5cm×10.5cm×4.0m・2級)は1m³あたり75,900円(農水省「木材価格統計調査」)。国内木材自給率は令和6年で42.5%・前年比-0.4ptで、建築用材等に絞ると-2.4ptと低下しました。為替・バイオマス需要・担い手不足は構造的リスクとして残ります。

調達実務では、国産材・輸入材の併用、地域製材所との直接取引、単品スライド条項や価格変動条項の活用を組み合わせることが現実解です。公的統計は規格・対象範囲・公表サイクルを踏まえて読み、自社の調達実績と突き合わせて判断するのが実用的です。

最新の建設コスト動向はデータで見る建設コストで随時更新しています。建設コスト全体の構造は建設工事費デフレーター130超でも利益が出ない理由も併せてご確認ください。

実際の取引価格とは異なる場合があります。参考値としてご利用ください。
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