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建設業の労災死亡者は2024年に232人で前年比+9人、全産業事故型別では墜落・転落が最多188人

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建設業の労災死亡者は2024年に232人で前年比+9人、全産業事故型別では墜落・転落が最多188人

この記事でわかること

厚生労働省「令和6年(2024年)の労働災害発生状況」(2025年5月公表)によると、建設業の死亡者は232人で前年比+9人・4.0%増。全産業の死亡者747人のうち約 31% を建設業が占め、業種別で最多が続いています。事故の型別(全産業ベース)では「墜落・転落」が188人と最多、「交通事故(道路)」123人、「はさまれ・巻き込まれ」110人。全産業では墜落・転落が最多の災害類型で、建設業の現場でも重点対策となる類型として位置づけられています(建設業の事故型別内訳は厚労省・建災防の建設業内訳資料でご確認ください)。本記事では建設業特有の災害構造、改正労働安全衛生法・石綿規制・足場規制の動向、中小事業者の安全管理論点を整理します。

主要データ

  • 建設業の死亡者:2024年で232人(前年比+9人、+4.0%)。全産業の死亡者747人(前年比-12人、コロナ罹患を除く集計では746人)の約31%を建設業が占める(厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」2025年5月公表。死亡者数は死亡災害報告、休業4日以上の死傷者数は労働者死傷病報告をもとにした集計)
  • 事故の型別(全産業ベース):墜落・転落188人(前年比-16人・-7.8%)、交通事故(道路)123人(同-25人・-16.9%)、はさまれ・巻き込まれ110人(同+2人・+1.9%)
  • 休業4日以上の死傷者:全産業の集計値は厚労省「令和6年の労働災害発生状況」公表ページで月別・業種別に確認できます(具体値・前年比は最新公表値で再照合してください)
  • 2022年4月から一定規模以上の解体・改修工事で石綿事前調査結果の行政報告が義務化、2023年10月からは有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による事前調査が義務化
  • 2024年4月から建設業も時間外労働上限規制(月45時間・年360時間、特例条項でも年720時間以内)の対象

注記:本記事の数値は厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」2025年5月公表値に基づきます。死亡者数は死亡災害報告、休業4日以上の死傷者数は労働者死傷病報告をもとにした集計で、最終確報値は時間の経過とともに微修正される場合があります。

厚生労働省が2025年5月に公表した「令和6年(2024年)の労働災害発生状況」によると、建設業の労災死亡者は232人。前年(2023年)の223人から9人・4.0%の増加でした。全産業の死亡者は新型コロナ罹患を含む集計で 747 人(前年比-12人、コロナ罹患を除く集計では 746 人)で、全体が減少した中で建設業は増加に転じた構造です。建設業は全産業死亡者の約 31% を占め、業種別で最多が続いています(厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」2025年5月公表)。本記事では分母として 747 人を採用します。

関連ダッシュボードは建設業の安全データで随時更新しています。

以下のチャートは建設業内の災害種類別内訳(全産業の事故型別とは別集計)。

データで見る

建設業 労災死亡(災害種類別)

事故の型別(全産業ベース):墜落・転落が最多188人

厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」では、全産業ベースの事故の型別の死亡者を公表しています。建設業に特に関係の深い類型を整理します。

事故の型

2024年死亡者(全産業)

前年比

建設業との関係

墜落・転落

188人

-16人(-7.8%)

建設業の主要災害類型、足場・屋根・はしご・脚立等

交通事故(道路)

123人

-25人(-16.9%)

資材運搬・現場間移動等で発生

はさまれ・巻き込まれ

110人

+2人(+1.9%)

建設機械・作業機械での災害

墜落・転落は全産業の死亡災害の事故型別で長年最多の類型で(休業4日以上の死傷者数では転倒が最多のため、死亡災害ベースに限った話です)、建設業の現場でも足場・屋根・はしご・脚立からの墜落、開口部での転落など高所作業に直結する災害が継続的に発生しています。建設業内の事故型別構成比は厚労省・建設業労働災害防止協会の建設業内訳資料で公表されており、最新値はそちらでご確認ください。

その他の主要災害類型

厚生労働省の集計では、上記以外にも以下の災害類型が公表されています。

  • 建設機械・乗物等との接触
  • 飛来・落下物
  • 崩壊・倒壊(土砂崩壊、構造物倒壊等)
  • 感電
  • 熱中症(夏期に集中、近年増加傾向)

業種別・災害類型別の詳細は、厚生労働省・職場のあんぜんサイト・建設業労働災害防止協会の公表資料で確認できます。

2024年問題と労災対策の関係

2024年4月から建設業も時間外労働上限規制(月45時間・年360時間、特例条項でも年720時間以内)の対象となりました。労働時間の制約は、現場での疲労蓄積の抑制と労災リスクの低減にもつながり得る変化です。一方、上限規制の中で工期を守るには追加人員の確保や生産性向上策が必要で、現場の作業密度・新人の比率が変化し、別の労災リスクが生じる可能性も指摘されています。

厚生労働省「建設業従事者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」では、上限規制の遵守と労災防止の両立に向けた事例・ガイドラインが公表されています。

石綿規制の強化

解体・改修工事における石綿対策は、近年規制が強化されてきました。

  • 2022年4月:一定規模以上の解体・改修工事で、石綿事前調査結果の行政報告が義務化(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)
  • 2023年10月:有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による事前調査が義務化

解体工事業の参入や中小事業者の改修工事受注では、石綿事前調査の体制整備(有資格者の確保、調査記録の保管、行政報告手続き)が法令上の前提になります。違反した場合の罰則・指導の対象になり得るため、社内体制の整備または外部調査機関との連携を整える対応が実務的です。具体的な適用範囲・手続きは個別案件で異なるため、所管行政・外部調査機関への確認が前提になります。

足場規制と高所作業

全産業の死亡災害ベースで墜落・転落が最多の事故型であり、建設業の現場でも高所作業対策が中心論点であることを受けて、足場規制も強化されてきました。

  • 2024年4月:労働安全衛生規則改正で「一側足場の使用範囲の明確化」が施行(一定規模以上の足場で本足場の使用が原則)
  • 従来からの規制:手すり・中さん・幅木の設置、墜落制止用器具(フルハーネス型・胴ベルト型)の使用。フルハーネス型を使用すべき作業の範囲は高さ・作業条件で定められており、具体的な適用は労働安全衛生規則・厚労省通達で確認が必要

個別案件の足場規制の適用は、足場の規模・用途・期間で異なります。労働基準監督署・建設業労働災害防止協会への確認、社内安全衛生委員会での運用ルール整備が前提です。

中小建設会社の安全管理論点

1. リスクアセスメントと安全衛生計画

労働安全衛生法ではリスクアセスメントの実施が努力義務とされています。中小事業者でも、年間の安全衛生計画にリスクアセスメントを組み込み、現場ごとに墜落・転落・はさまれ等の主要災害類型への対策を明示する運用が実務的です。

2. 元請・下請の連携

建設現場の労災は元請・下請の責任分担が論点です。労働安全衛生法では、関係請負人を含めた労働者数や事業の種類等が一定要件を満たす場合に、特定元方事業者に統括安全衛生責任者の選任義務が課されます(要件は労働安全衛生法第15条・施行令第7条等で確認)。下請側でも安全衛生責任者の選任が求められる枠組みがあり、現場の規模・関係請負人の有無等で具体的な配置要件が異なります。CCUS(建設キャリアアップシステム)のレベル判定では職長経験日数も評価要素になっており、安全管理体制と CCUS 運用が連動する設計になっています。

3. 労災保険・上乗せ保険の整備

労災保険は業務上の災害について療養給付・休業給付・障害給付・遺族給付等を支給する制度です。重大災害が発生した場合、労災保険でカバーされる範囲を超えた賠償リスクに備えるため、上乗せ労災保険・使用者賠償責任保険の検討が選択肢になります。保険料の負担と補償内容のバランスは、自社の事業規模・現場リスクで判断します。

4. 熱中症・健康管理

近年、夏期の熱中症による労災が増加傾向にあります。WBGT 値(暑さ指数)の測定、休憩時間の確保、水分・塩分補給、空調服等の支給など、現場ごとの熱中症対策の整備が求められる局面です。中小事業者でも、現場ごとの簡易な熱中症マニュアルの整備から始める選択肢があります。

参照出典

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免責

本記事は2026年4月時点の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の安全管理判断・労災対応の助言ではありません。労働安全衛生法・石綿規制・足場規制の適用は、個別の現場・工事・事業規模で異なります。実際の安全管理は最新の公式資料と社会保険労務士・労働基準監督署・建設業労働災害防止協会等の助言に基づいて行ってください。

現場状況により異なります。安全管理は必ず関係法令に従ってください。
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