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建設業の外国人労働者データ分析2025

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建設業の外国人労働者データ分析2025

この記事でわかること

建設業の外国人労働者数は2019年の9.3万人から2023年に14.7万人へ急増し(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」各年版)、技能実習から特定技能への移行も進んでいます。型枠大工・鉄筋工・左官での需要が特に高く、建設業限定の国籍別ではベトナム人労働者が最多を占めます。2024年問題による労働時間制約で外国人材への依存はさらに高まる見通しですが、安全管理や言語の壁が課題として残っています。

主要データ

  • 建設業の外国人労働者数:9.3万人→14.7万人(2019→2023年、厚労省「外国人雇用状況の届出状況」各年版)
  • 技能実習から特定技能1号への移行が加速中(出入国在留管理庁)
  • 国籍別(建設業限定)ではベトナムが最多、次いでインドネシア・フィリピン
  • 外国人労働者の労災発生率は日本人より高い水準(厚労省「労働災害統計」)

建設業の人手不足感は深刻です。この状況の背景には何があるのか。

建設業の外国人労働者数は右肩上がりで増えています。現場では「言葉の壁」「技能のバラツキ」といった課題も浮上しています。CCUS登録者数は着実に増加していますが、外国人労働者の活用はまだ発展途上にあります。技能実習から特定技能への移行はうまく機能しているのでしょうか。

本記事では、国交省・厚労省・出入国在留管理庁の公開統計データを軸に、建設業における外国人労働者の受入れ実態を分析します。

⚠️ 本記事の労務・雇用情報は公開統計に基づく参考値です。賃金・労働条件は地域・企業規模により異なります。

建設業の外国人労働者数の推移と現状

外国人労働者数の急増実態

厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」によると、建設業で働く外国人労働者数は2019年の9万3千人から2023年には14万7千人まで増加しました。わずか4年で約58%の増加です。

特に注目すべきは技能実習生の構成比の変化です。従来は技能実習生が大部分を占めていましたが、近年は特定技能1号の割合が急増しています。

職種別の受入れ状況

建設業の外国人労働者を職種別に見ると、型枠大工が最も多く、次いで鉄筋工、左官と続きます。これらの職種は日本人の新規入職者が少なく、技能の伝承が課題となっています。

地域差もあります。首都圏では内装工や設備工の需要が高く、地方部では土工や型枠大工の需要が突出しています。

データで見る建設業の人材では、職種別の就業者数推移を詳しく確認できます。

技能実習から特定技能への移行データ

移行状況の実態

出入国在留管理庁のデータによると、建設分野での特定技能1号在留外国人数は着実に増加傾向にあります。このうち技能実習からの移行者が大部分を占めています。

移行率を職種別に見ると、型枠大工が最も高い水準を示しています。左官や鉄筋工も高い移行率を示しています。一方で、建設機械施工や電気通信工事では移行率が比較的低い傾向にあります。

移行の成功要因と課題

技能実習から特定技能への移行が進んでいる現場には共通点があります。第一に、技能実習期間中から日本語教育に力を入れていること。第二に、技能検定の合格率が高いこと。第三に、労働条件が同業他社と比較して良好であることです。

逆に移行が進まない現場では、技能実習期間中の労働環境に課題があるケースが多く、賃金の未払いや長時間労働があった現場では、技能実習修了後に他業種や他地域に流出する傾向が強いとされています。

国籍別の受入れ状況と特徴(建設業限定)

ベトナム人労働者が最多

建設業で働く外国人労働者を国籍別に見ると(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」建設業分類)、ベトナムが最も多く、次いでインドネシア、フィリピンと続きます。なお全産業では国籍順位が異なり、建設業限定のデータと混同しないよう注意が必要です。

職種別では国籍によって従事する分野が分かれています。ベトナム人は型枠大工や鉄筋工での従事が多く、フィリピン人は建設機械施工での従事が比較的多い傾向があります。

定着率の国籍別差異

技能実習修了後の特定技能移行率を国籍別に見ると、ベトナムが高い水準を示し、インドネシアがこれに続きます。この背景には、母国での建設業の賃金水準と日本との差の大きさが影響していると考えられています。

現場での課題

安全管理の課題

厚生労働省「労働災害統計」によると、外国人労働者の災害発生率は日本人より高い水準にあります。特に墜落・転落事故の発生率が高い状況です。

原因の第一は言語の問題で、安全指示が正確に伝わらないケースが報告されています。第二は安全意識の違いで、母国での建設現場の安全基準が日本と異なる場合があります。第三は経験不足で、日本の建設現場特有の危険箇所や作業手順に慣れていないケースです。

受入れ体制の整備事例

外国人労働者の受入れを進めている現場では、多言語対応の安全教育資料の整備や、同国出身の先輩職人が見習いの指導に当たる体制の構築、日本語教室の開催や技能検定の受検支援といった取り組みが行われています。

データから見る今後の見通し

2024年問題後の動向

建設業には2024年4月から労働基準法36条に基づく時間外労働上限規制が適用されています(原則月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間かつ単月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内・月45時間超は年6回まで)。同じ工事量をこなすには、より多くの作業員が必要となることから、外国人労働者への依存度はさらに高まると予想されます。

職種別の需給見通し

大工をはじめとする建設技能者の高齢化・減少は、国土交通省の各種調査でも指摘されています。型枠大工や左官といった職種では、外国人労働者が担う割合がさらに高まる可能性があります。多能工の育成も求められています。

データで見る建設業の求人では、最新の求人動向を確認できます。

制度改正の影響

育成就労制度(旧・技能実習制度に代わる新制度)の創設により、転職制限が緩和され、外国人労働者の流動性が高まります。労働条件や賃金水準で他業界に劣る企業は、外国人労働者を確保しにくくなるリスクがあります。

受入れ拡大に向けた準備と対策

教育体制の整備

外国人労働者の受入れ拡大には、教育体制の整備が欠かせません。建設現場で使う専門用語や安全用語を多言語で説明できる教材の作成が求められます。「墨出し」「納まり」「歩掛」といった現場用語は図解やピクトグラムを活用した多言語教材が有効です。

労働環境の改善

外国人労働者の定着率向上には、労働環境の改善が不可欠です。常用雇用への転換や賃金水準の見直しは、制度改正後の流動性上昇を踏まえると急務となります。

デジタル化による業務効率化

CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用も必要です。外国人労働者の技能レベルを客観的に評価し、適正な処遇につなげる仕組みとして機能が期待されています。玉掛けや足場組立といった技能資格の取得支援も有効です。

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まとめ:データが示す外国人労働者との共生への道筋

建設業における外国人労働者は、補完的な存在から基幹的な労働力へと位置づけが変わっています。厚労省データが示す外国人労働者数の大幅増加は、この変化を如実に示しています。

技能実習から特定技能への移行が進んでいることは、外国人労働者が日本の建設現場に定着している証左です。しかし、職種別・国籍別の格差や安全管理の課題は依然として残っています。

2024年の時間外労働上限規制適用により、外国人労働者なしには事業継続が困難な企業も増えています。一方で、育成就労制度への移行により外国人労働者の選択肢も広がります。

建設業界が取るべき方向性は、多言語対応の安全教育体制の整備、技能向上とキャリア形成の機会の提供、他業界と競争できる労働条件の整備という三点に集約されます。

FAQ

Q: 外国人労働者の受入れにかかるコストはどの程度ですか?
A: 技能実習の場合、受入れ団体への支払いや住居確保費用などが発生します。特定技能の場合、技能実習からの移行なら費用を抑えられるケースもありますが、具体的な金額は受入れ形態や企業規模により異なります。

Q: 外国人労働者の労働災害を防ぐには何が必要ですか?
A: 多言語対応の安全教育資料の整備と、同国出身の先輩職人による指導体制の構築が有効です。視覚的に理解できる図解やピクトグラムの活用も推奨されています。

Q: どの職種で外国人労働者の需要が高いですか?
A: 型枠大工、鉄筋工、左官での需要が高く、これらの職種では特定技能への移行率も高い水準にあります。日本人の新規入職者が少ない職種ほど需要が高い傾向があります。

出典:各省庁公式データ。最終更新日を必ずご確認ください。
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